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デジタル臨調初会合

政府は16日、デジタル、規制、行政改革を一体的に議論するデジタル臨時行政調査会(臨調)の初会合を開きました。制度で義務付けた書面・対面規制を原則改める方策を検討します。方向性を得るまでに半年ほどを要すると、スピード感が欠ける内容に驚きを感じます。

デジタル臨調会長の岸田文雄首相は会合で「成長を実感できる社会を実現するためには国、地方の制度や経済社会の仕組みをデジタル時代にあったものに作り直していく必要がある」と訴えました。

2022年春に必要な規制見直しや法整備の方向性をとりまとめ、22年夏に決める経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に盛り込むスケジュールとなっています。

 

目次

デジタル臨時行政調査会(臨調)の役割

国や地方の法律・制度をデジタル技術の活用を前提にすべて「作り直す」(岸田文雄首相)という。社会の仕組みを大きく変えるには法制や規制の見直しが不可欠であり、新臨調の実行力が問われる。

新型コロナウイルス関連の支援策やワクチン接種証明のアプリ開発の遅れなどをみても、行政のデジタル対応は課題が山積みだ。

法制全般の見直しは重要だが、一括改革にこだわり過ぎると時間がかかる。緊急性が高い部分から成果につなげられるよう俊敏に取り組んでほしい。

首相は16日の新臨調の初会合後に「政策実現のスピード感」を強調した。3回目のワクチン接種に向けて、転居者の接種実績情報を転出元と転入先の自治体が共有できる規制改革に即座に取り組むと宣言した。こうしたスピード感を今後の改革全体に広げるべきだ。

初会合では既存の法令や新たな法案、政省令案がデジタル時代にふさわしいかの判断基準となる「デジタル原則」を年内に制定すると確認した。前提として書面、対面、目視、常駐などを義務付けてきた時代遅れな規定の見直しが急務なことは明らかだ。

ワクチン接種を済ませた人の入国規制でいまだに何枚も指定書式の書類を提出させるなど、デジタル化に逆行する新ルールも見受けられる。見直しが必要な法令や行政慣行を洗い出す作業を即座に始め、緊急性の高いものは新臨調が旗振り役となって所管省庁へ早期の改善を命じるべきだ。

オンライン診療をはじめ、デジタル技術の進歩に制度や行政実務が追いついていない分野も多い。特に重要な課題については、規制改革の通常の枠組みを超えて優先的に解決できるように背中を押すのも新臨調の役割だろう。

法改正や行政手続きの抜本的な改革は、権限の縮小や仕事のやり方の見直しを迫られる省庁や団体の根強い抵抗が予想される。それを乗り越えて改革を実行するためには、新臨調の組織と運用にさらなる工夫が必要だ。

1981年に発足した土光敏夫氏を会長とする第2次臨時行政調査会(土光臨調)は、3公社の民営化など日本経済を民間主導に大きく転換する方向を示した。デジタル改革は今後の日本の成長を左右する。「臨調」の名に値する改革を実現してほしい。

引用元:日本経済新聞電子版

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デジタル臨調での論点 出典元:日本経済新聞電子版

菅内閣での規制改革実績

規制改革を目玉に据えた菅内閣は年に一度答申をとりまとめて、法改正をするという霞が関の歳時記を改めた。20年9月に発足後すぐに行政手続きの押印全廃を表明した。押印を求める根拠となる政省令などは年内に順次改正した。

とりわけデジタル分野は技術の発展の速度が目覚ましく、断続的に規制を見直さなければビジネスの現場が競争力を失いかねない。

乱立する政策会議に埋もれ推進力が弱まれば、所管省庁や業界との詰めの段階で、例外を多く設けるおそれもある。

オンライン診療は菅前政権が初診もかかりつけ医を原則に恒久化する方針を決めた。具体的な方法を議論していた厚生労働省の検討会で6月、100以上の学会が加盟する日本医学会連合が適さない症状などをまとめた提言を出した。

「問診と動画で診断を確定できる疾患はほぼない」とした。軽い発熱や風邪などでの利用が想定される。報酬が対面に比べて低いのも障壁とされる。

オンライン診療に関しては、2016年に創業したファストドクターが、地域医療機関と連携し、夜間・休日といった時間外診療の総合窓口サービスを行っています。その活動が大変注目されますので、次に取り上げます。

ファストドクター

医師の菊池亮さん(35歳)が2016年に創業したファストドクターは地域医療機関と連携し、夜間・休日といった時間外診療の総合窓口サービスを手掛ける異形のスタートアップ企業だ。新型コロナウイルス感染症が拡大してからは自宅療養の患者を24時間体制で往診し、地域医療を守る最後の砦(とりで)として奮闘した。

ファストドクターでは、クリニックなどの診療所が閉まっている時間帯に病気やケガで困っている患者さんの相談を電話やインターネット、LINEなどで受け付け、看護師が応じます。

そこで患者の緊急度と通院困難性を判定するトリアージを行い、緊急度が高ければ119番と連携し、通院できるようなら地域の救急病院を案内します。緊急度が低い場合は医療相談にとどめます。緊急性がそこそこあり、通院が難しい患者には提携医療機関による往診を紹介します。

往診する医師は救急診療所とほぼ同じ医療を提供します。採血、エコー検査、エックス線、心電図など一般的な検査が在宅でできる。約80種類の薬を処方して、抗生剤や解熱剤などの点滴治療も受けられる。保険診療なので患者負担は医療費の1~3割。クレジットカード決済のほか、請求書を後日お送りしコンビニエンスストアでの支払いにも対応しています。

救急車を呼ぶかどうかの判断に迷った場合に相談できるサービスとして、総務省消防庁の救急安心センター事業があります。「#7119」に電話すると緊急度を判断してくれる。ただ「救急車を呼ぶほどではないけれど、急いで病院に行ってください」と言われても、患者さんにはそれが不可能な場合があります。

我々はそうした患者さんに診察と処方を行い、必要なら高度な医療ができる病院につなぐ。夜間や休日の患者さんの解決につながるプラットフォームを目指しています。10月まで1年間の相談件数は18万件を超えています。

指定感染症である新型コロナの患者は保健所の所管で、指定医療機関が対応することになっていました。とはいえ、4月には保健所も病院もパンクし始めた。我々にも発熱患者さんからの問い合わせがかなり増えました。

在宅の患者さんに安心を提供するという、僕たちがやってきたことを考えれば、コロナ患者に対応しないという判断はありえなかった。やらなければ、社会に存在する意味がないとさえ思いました。

解熱剤の処方などを始めましたが、当時は医療従事者の防護具が潤沢ではありませんでした。医療用高性能マスクがない、医療用ガウン、医療用グローブも足りない。流通しているものは病院が優先されていたので、マスクなどは価格が高騰したものを中国から個人輸入する状態でした。国の補助金等の制度も間に合っていない状況だったので、物資の調達費で赤字でした。

そんななか、国は昨年4月に特例として初診のオンライン診療を解禁しました。オンラインならば物資のコストを減らすことができる。そこで翌日にはオンライン診療を開始し、最短1時間で処方薬を患者に配達するサービスを始めました。我々は物資の調達に苦しみながら、コロナ患者の診察を広げていきました。

引用元:日本経済新聞電子版

まとめ

・国や地方の法律・制度をデジタル技術の活用を前提にすべて「作り直す」(岸田文雄首相)方針です。

・法制全般の見直しは重要ですが、一括改革にこだわり過ぎると時間がかかってしまいます。緊急性が高い部分から成果につなげられるよう、優先度を考慮して取り組んでほしい。

緊急性の高いものは新臨調が旗振り役となって所管省庁へ早期の改善を命じるべきです。

デジタル改革は今後の日本の成長を左右する大変重要な改革です。「臨調」の名に値する改革を実現してほしい。

・オンライン診療に関しては、2016年に創業したファストドクターが行なっている夜間・休日といった時間外診療の総合窓口サービスを参考にして、是非知恵を出して実施してもらいたい。

・ファストドクターは新型コロナウイルス感染症が拡大してからは自宅療養の患者を24時間体制で往診し、PCR検査の実施、地域医療を守る最後の砦として奮闘したことは称賛に値します。

・同社は今では首都圏のほか、関西圏、愛知県、福岡県でサービスを展開しています。往診の連携医療機関は13施設に増え、約1300人の医師が登録しています。

・ファストドクター菊池代表は「医療法人ではこのスピードは出せませんでした」と株式会社組織であることの意義を語っています。医療業界にヒントを与えているように思えます。

「医は仁術」を実践されている菊池亮医師に拍手を送ります。