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「遺伝子が目覚めれば人生が変わる」生命科学研究に従事すること50年余、研究者という域を遥かに越えて大自然の不思議な働きに目を向けられ、遺伝子の働きを通じて私たちに生命の不思議を伝え続けてくださった筑波大学名誉教授・村上和雄先生が令和3年4月13日ご逝去されました。
生命の神秘さと真摯に向き合うなかで辿り着いた「サムシング・グレート」という村上先生が生み出した言葉は、いまも多くの人たちの心に残っています。
村上先生は講演などでは、どうすれば遺伝子の話を多くの人たちに受け入れてもらえるかを考えられ、単に研究の成果ではなく、研究を通じて何を感じられたかにスポットを当てて情報発信をしてこられました。
宇宙が創った最高傑作が人間の命。そんな思いを込めて語られた村上和雄先生の講話録をご紹介いたします。
目次
- 遺伝子を目覚めさせる村上和雄先生の言葉【その1】
- 遺伝子を目覚めさせる村上和雄先生の言葉【その2】
- 著書『スイッチ・オンの生き方』から心に残る言葉
- 【人間の無限の可能性】
- 【能力の差を生むもの】
- 【サムシング・グレート】
- 【生かされている生命】
- 【生き物を生かす不思議な力】
遺伝子を目覚めさせる村上和雄先生の言葉【その1】
よい遺伝子を目覚めさせる6つのポイント
①どんなときも明るく前向きに考える
②思い切っていまの環境を変えてみる
③人との出会い、機会との遭遇を大切にする
④感動する
⑤感謝する
⑥世のため人のためを考えて生きる
遺伝子をオンにするための知恵の一つに感動があります。
感動するとき、遺伝子は決して悪い方向には働かない。
感動は自分の心を奮い立たせ、遺伝子をよい方向に導いてくれるものです。
遺伝子をオンにするための心構えというものを
私自身の経験から振り返ると3つくらいの条件があるように思います。
①高い志を持つということ
②喜びを多くの人と共有するということ
③自分たちの仕事が世の中のためになるという熱き思いや意識を持つこと
遺伝子を目覚めさせる村上和雄先生の言葉【その2】
人間として生まれてきたということは、ある意味で、ものすごく幸せなことです。
猿で終わったかもしれないし、魚で終わったかもしれない。胎児のうちに魚とか爬虫類を経過していくのですから。
つまり、魚や爬虫類で終わったかもしれないのに、
それが人間まで辿り着いた。これはすごいことです。
私は、人間は皆、自分の金メダルを取れるのではないかと思います。
オリンピックの金メダルや、ノーベル賞は取れないけれども、
自分の金メダルなら取ることができる。
そしてそれが人生の目的だと思うのです 。
遺伝子工学の世界的権威として高名な先生ですが、遺伝子を研究する中で、その構造や働きが
偶然に生まれることはあり得ず、「人智を超えた偉大なる存在」なしに到底説明はできないと
いう結論に至られました。
先生は「人智を超えた偉大なる存在」を「サムシング・グレート」と名づけられ、
その言葉は仕事のジャンルや世代を超えて広く人々に知られるようになりました。
著書『スイッチ・オンの生き方』から心に残る言葉
著書『スイッチ・オンの生き方』から心に残る言葉をご紹介します。
【人間の無限の可能性】
眠っている遺伝子のスイッチをオンにすることができれば、 「こうあってほしい」
と望むようなことは、ほぼ100%可能といってもいいと思います。
それどころか、頭で考えて「こんなことはダメだろう」と思うようなことも可能にす
る能力を、私たちの遺伝子は持っていると考えられます。
科学的に見た可能性の限界など、全く意味がありません。
人間の想像をはるかに超えた情報が、遺伝子には書き込まれているのです。
【能力の差を生むもの】
人間という存在を遺伝子レベルで見れば、学校の成績が良かろうが悪かろうが、
身体が強かろうが弱かろうが、99.5%以上は誰でも同じです。
能力に差があるとすれば、遺伝子を眠らせているか、 目覚めさせているかの違いだけです。
その違いは、心のありようや環境などによって生じます。
人との出会いや環境の変化などによって、眠れる遺伝子のスイッチがオンになるとき、
人は生きながらにして生まれ変わることができるのです。
【サムシング・グレート】
万感の書物に匹敵する膨大な遺伝子情報を極微な空間に書き込み、 しかも、
それを一切の休みなく作動させている遺伝子とは、 まさに奇跡としか表現の
しようがないものです。
人間の理性や知性をはるかに超えたものの働きによって誕生したと考えるしかあり
ません。 私はそこに人智を超えたものの存在を感ずるのです。 そういう存在を、
「偉大なる何か」という意味で、 私は「サムシング・グレート」と呼んできました。
【生かされている生命】
人間の生命については、まだわからないことだらけなのです。 呼吸にしても、
血液循環にしても、人間の力で調和的に持続的に働かせることは 不可能です。
しかし、それでも私たちは生きている。何もわからないままに──。 そう考え
てみると、いったい私たちは何事が起こっているのかと思うのです。
これは「生きている」というようなものではなくて、「生かされている」という
しかありません。
【生き物を生かす不思議な力】
サムシング・グレートとは、具体的なかたちを提示して、 断言できるような
存在ではありません。 大自然の偉大な力ともいえますが、 神といってもいいし、
仏といってもいいような存在です。
とらえ方は自由なのですが、ただ、私たち生命体の大本には 何か不思議な力が働い
ていて、それが私たちを生かしている。
私たちはそれによって生かされている、という気持ちを忘れては いけないと思いま
す。
出典元:『スイッチ・オンの生き方』村上和雄著 出版致知社 https://www2.chichi.co.jp/t?p=AAACTTU._zL1nAMPdKSG0bKwNsY