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自民党新総裁の課題

自民党は9月17日告示ー29日投開票で総裁選挙を実施します。党所属の国会議員383票と党員・党友383票で選出します。同党は衆議院で単独過半数を占めるため、総裁選は事実上菅義偉氏を継ぐ次の首相を選ぶ選挙になります。

因みに、2020年末の自民党員は113万6445人で、国民の約1%です。党員数は1991年の545万人をピークに減少し、12年の73万人をボトムに上昇しています。

菅義偉首相の突然の不出馬宣言で11日現在、岸田文雄、高市早苗及び河野太郎の3氏が立候補しており、この3人を軸に選挙戦が争われる構図です。

新総裁による自民党政治の刷新への期待と共に新総裁が抱える課題について検討してみました。

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総裁選立候補

目次

菅政権が積み残した課題

菅政権がこの1年で成し遂げた実績としては、2050年の脱炭素実現の宣言、9月1日発足したデジタル庁の創設、携帯電話料金の引き下げ、新型コロナウィルス感染拡大防止対策として、ワクチン接種の急拡大などが挙げられます。

菅政権はコロナの感染抑止に全力をあげましたが、緊急事態宣言の繰り返しに止まり、必要な病床や医療従事者の確保に目立った成果を挙げられませんでした。

そのため私どもは失業、時短、リモートワークなど将来を見通せず、政府への批判、不満及び生活不安は増大しております。特に飲食店・観光等のサービス産業の事業継続に深刻な影響を与えています。

従って、病床や医療従事者の確保に強制力を持たせ、緊急時の対応に備えた医療提供体制と法整備を実現することが第一になすべき政策課題と考えます。

菅政権より引き継いだ行政のデジタル化や2050年までに温暖化ガス排出量を実質ゼロにする目標をいかに実現していくかの具体策の提示も重要な課題です。

自民党若手議員の動き

菅首相が総裁選出馬を断念した背景には、党内若手の「菅首相では衆院選を戦えない」との声がありました。

2012年、自民党が政権に復帰した衆院選で初めて当選し、現在当選3回になる議員は84人と突出して多くいます。14年、17年の選挙で初当選した議員を含め3回生以下の議員は46%を占めます。

現在、自民党所属衆院議員は276人で、平均年齢は59歳で、60歳未満は約半分です。引退を表明した古参議員も相次ぎ、更に世代が若返ります。



世論調査で河野氏は「次の総裁にふさわしい人」のトップです。河野氏は58歳で、自民党内ではネット世代の先駆けで、派閥の領袖でもありません。

河野氏を推すのは若手議員たちです。これまでの「長老の意向に左右される不透明な意思決定」という総裁選のあり方や党改革を提言する動きも出て来ました。

若手への世代交代により、国民の生活を第一に考え経済成長を図り、明るい将来を展望できるようにする政党への脱皮を期待いたします。


3人の立候補者の主要政策

岸田文雄、高市早苗及び河野太郎の3氏が掲げる主要政策は次の通りです。

コロナ対応

岸田氏:医療難民ゼロ、健康危機管理庁設置。

高市氏:ロックダウン法制の検討。

河野氏:思い切った人流抑制、国産ワクチン開発支援。

経済政策

岸田氏:新自由主義的政策を転換、数十兆円規模の経済対策。成長と分配の好循環にて「令和版所得倍増」、経済安保の担当閣僚新設。

高市氏:金融緩和、財政出動、成長投資の「サナエノミクス」、物価安定目標2%達成まで、基礎的財政収支黒字化目標を凍結。技術流出防止の法整備。

河野氏:個人を重視する経済、雇用重視企業に法人減税、デジタルとグリーンを核とするイノベーション。

脱炭素・原子力発電

岸田氏:脱炭素目標を堅持。原発は新増設の前にまず再稼働。

高市氏:環境エネルギー省と情報通信省の創設、省庁再編。原子力の平和利用、核融合炉の研究支援

河野氏:産業界が安心できる現実的なエネルギー政策、安全が確認された原発の再稼働、新増設は現実的ではない。

まとめ

新型コロナで多数の病床がありながら、それが活用されないで、医療体制が危機的状況にひっ迫したのは、医療制度そのものに問題があることが明らかです。

日本社会全体のガバナンスを根本から強化する必要があります。

1961年から始まった第1次臨時行政調査会(臨調)、81年からの第2次臨調と、日本は20年ごとに行政全体を見直す作業を行ってきました。

今年は2001年の中央省庁再編から20年の節目に当たります。是非第3次臨調をスタートさせるチャンスであると考えます。

人口減少、少子高齢化、経済成長の長期停滞、医療・介護・年金制度の見直し、デジタル化、2020年脱炭素・再生可能エネルギー・原子力発電問題等日本が抱える課題は山積しています。


これまでこれらの重要な課題の解決を先送りしてきた結果が、今日の日本の現状の姿です。

どなたが新総裁になるにしても、新総裁はこれらの課題に対して、逃げることなく、真剣に前向きに取り組んでいただきたいと思います。

情報元:日本経済新聞