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「首都直下地震」に備える

7月18日付日本経済新聞によれば、7月3日に熱海市で発生した土石流による行方不明者の捜索はいまだ続いています。

今度は今月14~15日にかけてドイツ西部やベルギーを豪雨と洪水が襲いました。

今回の災害と気候変動の因果関係の分析はこれからですが、フォンデアライエン欧州委員長は「気候変動の明らかな兆候だ」と温暖化対策の重要性を訴えています。

 

このように 世界各地で異常気象、気候変動による被害が頻繁に発生していますが、今回は東京都民にとって最大の関心事である「首都直下地震」を取り上げて調べてみました。

 

目次

 

断水という「災害時の疑似体験」

たまたま私が住むマンションでは、数日前の7月14日に給水ポンプユニット交換工事が行われ、当日は午前9時から午後5時まで断水となりました。

事前に通達がありましたので備えていましたが、断水という「災害時の疑似体験」から学んだことは次の通りです。

我が家では非常時に持ち出せるように防災セットを購入して備えていますが、未だ使用したことはありません。

断水時に対しては、飲料・料理用の水を水瓶並びに2リッター入りペットボトル6本入り段ボール箱を1箱用意しています。

トイレ用の水は、上記の使用済みペットボトルに水道水を入れて、およそ30本トイレ内とベランダの貯蔵庫に分けて置いています。

当日はコロナ禍でもあり、外出もせずに1日中家にいました。

トイレ使用にどれほど水を必要とするかはこれまで調べたことはありませんでした。

今回分かったことは、小水の場合、ペットボトル2本4リッター、大の場合は4本8リッターを1回の使用にて必要とすることが判明しました。

家内と私二人で合計20数本のペットボトルを1日で使用してしまうことが分かり、大変
驚きました。そしてトイレ用水の備蓄を増やす必要があるという実態が分かり、良い経験を積むことが出来てよかったと思います。

何事も実際に体験してみることの重要性を再認識いたしました。

首都直下地震 

首都直下地震被害想定

出典元:首都直下地震 被害想定 死者約2万3000人

首都直下地震とは

私ども東京都民が恐れている災害は「首都直下地震」です。政府の地震調査委員会が今後30年以内に70パーセントの確率で起きると予測している、マグニチュード7程度の大地震です。

日本は1996年の阪神・淡路大震災を契機に、地震防災対策への取り組みを本格化しています。震災を通して浮き彫りになった課題を踏まえて、平成7年6月に『地震防災対策特別措置法』を制定し、さらに政府機関『地震調査研究推進本部』が設置されました。

地震調査研究推進本部の主な活動は、地震の発生確率を長期的に評価することです。公式サイト内では、主要断層ごとの地震発生確率を評価・公開しています。

また、予測評価だけではなく、過去にあった大きな地震もまとめられています。たとえば、相模トラフで起こったマグニチュード8クラスの巨大地震は以下の3件です。

・1293年:永仁地震
・1703年:元禄地震
・1923年:大正地震(関東大震災)

1703年の元禄地震から関東大震災までの間隔は、およそ220年。関東大震災から現在まで、まだ100年弱しか経っていません。よって、「近い将来に同タイプの地震が発生する可能性は低い」と結論付けられています。

ただし、マグニチュード7クラスの地震も多数発生していることも考慮すべきです。地震調査研究推進本部地震調査委員会で実施した評価においては、上記の通り「今後30年以内に、南関東でマグニチュード7クラスの地震が起きる確率は70%」と推定しており、これはきわめて高い値といえます。

阪神・淡路大震災における被害は?

1996年の阪神・淡路大震災では、死者約6,400名、負傷者は43,000名以上にのぼる被害をもたらしました。港湾埠頭の沈下、山陽新幹線高架橋の倒壊・落橋がありました。ほかにも電車が止まり、道路が通行止めになるなど、交通機能は著しく低下。救助や消火活動はもちろん、物資の輸送にも大きな影響を及ぼしました。

ライフラインでは、約130万戸の断水、約260万戸の停電、約86万戸のガス供給停止が発生。固定電話は設備障害が約30万件、家屋の倒壊やケーブルの焼失による障害が約19万件にのぼりました。当時はまだ携帯電話が普及していない時代なので、連絡手段を失った人が後を絶ちませんでした。

また、河川には堤防の沈下や亀裂などの被害が多数あり、西宮市の仁川百合野町では地すべりによる犠牲者が34名出ています。農林水産業関係の被害では、農地やため池なども甚大な被害が発生し、その被害総額は約900億円にのぼりました。

東日本大震災における被害は?

2011年3月11日に発生した東日本大震災では東北地方から関東地方の広い範囲において、東向きの地殻変動が発生しました。地面の沈降なども確認されていて、地形が変わってしまうほどの大規模地震でした。

岩手・宮城・福島県を中心とした太平洋沿岸部には、巨大津波が襲来。これにより、青森・岩手・宮城・福島・茨城・千葉の6県62市町村で合計561平方キロメートルもの範囲が浸水しました。死者・行方不明者の合計は25,000名以上で、この数字は関東大震災(死者・行方不明者は約10万5千人)に次ぐものです。

ライフラインの被害は、地震発生直後で停電が約850万戸、都市ガスは供給停止戸数約46万戸、水道は約160万戸、下水処理施設は最大被災施設数120施設となっています。固定電話は不通が約100万回線、携帯電話基地局の停波局数は12,000基地局にも及びました。

鉄道や道路の被害も多数発生し、阪神・淡路大震災と同様に交通機能は大きく麻痺しました。首都圏においては帰宅困難者が数多く発生。建物や人的被害がなくても、自宅に帰れない人が続出しました。政府試算では、この地震による被害総額は16兆~25兆円にのぼると推定されています。

首都圏で想定される被害は?

今後発生が予測されている首都直下地震で、実際にマグニチュード7クラスの大規模な地震が首都圏で発生した場合、どのような被害が出るおそれがあるのでしょうか。

内閣府の試算では、死者は最大で23,000名、経済被害はおよそ95兆円に達すると想定しています。家屋の全壊や焼失は61万戸にのぼる見通しとなっています。津波の発生も想定されていて、広い範囲に被害が及ぶとみられています。避難者数は約339万名、帰宅困難者は約517万名も出ると予測されています。

異なる震源の複数の地震が想定され、このうち首都中枢機能への影響が最も大きいと考えられるのが、都心南部の直下で起きるマグニチュード7.3の大地震です。(注)

▽東京の江戸川区と江東区では震度7、
▽東京、千葉、埼玉、神奈川の4つの都県では、震度6強の激しい揺れが想定されています。

冬の夕方、風が強い最悪の場合は、全壊または焼失する建物は61万棟に上り、このうち火災で焼失するのはおよそ41万2,000棟とされています。

死者はおよそ2万3,000人にのぼり、その7割にあたるおよそ1万6,000人は
火災が原因で死亡するとされています。
けが人は12万3,000人、救助が必要な人は5万8,000人、避難者数は720万人
に達すると想定されています。

電気や上下水道などのライフラインや交通への影響が長期化し、都心の一般道
は激しい交通渋滞が数週間継続するほか、鉄道も1週間から1か月程度運転が
できない状態が続くおそれがあるとしています。

経済被害は、建物が壊れるなど直接的な被害は42兆円余り、企業の生産活動や
サービスが低下する間接的な被害は48兆円近くで、そのほかも合わせて95兆
円と国の年間予算に匹敵
するとされています。

世界にも影響を及ぼす経済の混乱が、数年数十年と長期化すると、さらに経済被害は増加していくことになります。

出典元:内閣府防災情報のページ「インフラ・ライフライン等の被害と様相」

一方で、想定では、建物を耐震化して、火災対策を徹底すれば死者は10分の1の2,300人に減らせると対策の効果も示されています。

首都の中枢機能については、政府機関を中心に耐震化や非常用電源などハード面の対策はとられているとしたものの、夜間や休日に地震が発生すると激しい交通渋滞などで通勤が困難になるため、要員を確保するなどの対策が必要だとしています。


首都直下地震に向けて、今からできること

首都直下型地震が発生すると上記に記述されているように人的被害はもちろん、生活インフラ全般が寸断される等被害は甚大です。また、食料や日用品も交通インフラの麻痺によって流通が滞り手に入りづらくなり、さらに生活支援物資の配給を待たなければならない状況も想定されます。

これらに備えて最低限今できることは、大きく2つあります。

1つ目は住んでいる地域の避難場所を確認しておくことです。大きな地震が発生したとき、あらかじめしっかりと確認して、家族で情報をすり合わせておきましょう。

2つ目は防災バッグの準備です。中身は医療用品やラジオなどのほか、水と非常食を少なくとも1週間分用意しておきます。備蓄の目安は最低7日分です。飲料水は1人1日3リットル必要として、21リットルを人数分用意しておきましょう。非常水と非常食にはそれぞれ賞味期限があるので、定期的に備蓄した食料を入れ替え、常に新しい食料を備蓄するローリングストックをすること。

また、電気が寸断された場合に備えて、家庭内では懐中電灯やラジオをすぐ使える場所に置いておきましょう。電池の補充ができるとは限らないので、電池式よりも手回し式のものがおすすめです。

健康を維持するためには防災食だけでなく、1週間水が使えない時のトイレや口腔ケアの用意も欠かせません。水を使わない携帯トイレなど、清潔で安全な状況を保つ準備をしてください。

寺田寅彦は「天災は忘れた頃にやって来る」との名言を残しています。私どもは是非とも上記の事態を参考にして、出来るだけの備えを絶対にしておきましょう。備えあれば憂いなしです。

(注)ここではみなさんに震災を「自分のこと」として捉えていただくために、都心の被害が大きくなるケースを選んでいます。首都直下地震 被害想定マップ