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日本の経済成長戦略

衆院選(10月31日投開票)に向けた論戦もいよいよ終盤を迎えています。自民党の岸田総裁が主張する「成長と分配の好循環」は経済政策での重要な論点です。しかし、その実現は大変難しい課題です。

与野党は生まれた富をいかに「分配」するかを公約で競っていますが、先ずは低成長を抜け出し、分配のためのパイを拡大することが最優先課題です。

日本の平均年収は横ばいが続いています。成長なくして分配なしです。いかにして成長を図っていくのか、その方策を検討してみました。

内閣・政党支持率

内閣・政党支持率 出典元:日本経済新聞電子版

 

目次

分配議論に欠けている論点

衆院選で与野党が掲げる経済政策からは、成長を実現するのに必要な改革の具体案が見えてきません。分配に必要な成長の道筋をどう描くのか。各政党は分配だけでなく、どういった政策で成長を実現するかを有権者に示すことが不可欠です。

しかし、残念なことに、この大事な議論が進んでいません。日本が抱える問題は深刻であり、解決を図るには、長く続いてきた日本の構造改革が必要です。

「失われた30年」と言われるように、これまでの長い年月課題に対して真剣に取り組んできたのでしょうか?課題を先送りにして、避けてきたのではありませんか?

この10年間の実績はどうでしょう?最後まで取り組んで約束を果たしたといえるものはあるでしょうか?

少子化対策や地方創生、規制改革など、主だった政策はほぼ掛け声倒れに終わってきました。アベノミクスも一時的な浮揚効果は大きかったですが、構造改革問題にはほとんど手がつけられませんでした。

日本の抱える課題

日本が抱える課題を列挙しますと:
・日本は少子高齢化、人口減少、労働力減少のもとで、成長力強化のための生産性向上にどう取り組んでいくか、
・産業の新陳代謝を促し、新たな市場を伸ばすための戦略をどうするか
・産業構造(中小・零細企業の低い生産性の改善)をどう変えていくか
流動性が乏しい雇用制度・働き方、女性・高齢者の活用をいかに推進するか
年金・健康保険・介護の社会保障の持続性をどう維持していくか等
数々の難しい問題を抱えています。

コロナ禍という新しい環境のもとで、これを絶好の好機と捉えてこれらの課題に果敢に前向きに取り組む体制作りを先ず行っていただきたいと思います。

地盤沈下する日本の実態

経済的なデータが示すのは、国民全体の生活水準が地盤沈下する日本の実態です。

OECDがまとめた年間賃金データを各国別に比べると日本は30年間ほぼ横ばいだ。購買力平価ベース(20年米ドル換算)の実質系列で30年前と比べると、日本は4%増の3.9万ドル(440万円)どまりだったのに対し、米国は48%増の6.9万ドル、OECD平均が33%増の4.9万ドルと大きく伸びた。
引用元:日本経済新聞電子版(10月16日付)

第三は付加価値の総和である国内総生産(GDP)だ。平成の30年間でわが国のGDPが世界に占めるシェアは10ポイントほど下落し、今や世界の6%程度まで落ち込んでいる。しかも給与所得者の賃金も長期にわたり上昇していない。豊かさの指標でもある1人当たりGDPもシンガポール、香港などの後じんを拝し豊かな国から脱落しつつある。

第四は研究開発力だ。文部科学省の「科学技術指標2021」によれば、引用されるわが国の論文シェアが急低下している。資源の乏しいわが国で研究開発力が低下すれば価値創造への期待が持てない。背景の一つに研究開発費の不足が指摘される。

第五はジェンダーギャップだ。世界経済フォーラムが公表する最新の指数は世界120位という情けない状態だ。ジェンダーギャップ解消に向けた取り組みは世界から周回遅れとされ、少子化が止まらない要因との指摘もある。
引用元:日本経済新聞電子版(10月15日付大機小機(自律))

 

具体的方策は?

企業が持続的に賃金を増やすには、国内事業の付加価値を高めていくことです。デジタルトランスフォーメーション(DX)で生産性を高め、脱炭素など新たな成長分野に果敢に取り組む必要があります。

そのためにも国は、規制緩和や企業の新陳代謝の促進などで積極的に成長を促し、分配の元手となる経済のパイ拡大を進めてほしいと思います。

10月26日に岸田首相は「新しい資本主義」の実現に向けた有識者会議の初会合を開きました。

果たして民間企業の競争を促し、創意工夫やイノベーションを喚起することが出来るのか、それともこれまでの成長戦略会議の看板の書き替えに終わってしまうのか、見守っていきましょう。

子供たちの将来のためにも、私ども各人は責任をもって未来への選択をする一票を投じましょう。