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新型コロナウィルス禍のオリンピック開催

 昨年12月に中国武漢市で発生し、世界保健機関(WHO)が「パンデミック」と認定した新型コロナウィルスの感染拡大は全世界に広がり、 世界は危機的状況に陥っています。

 

既に世界で1.85億人が感染し、死亡者の数は400万人に達します。

 

日本においては、安倍首相が昨年4月7日に緊急事態宣言を発令して以来、感染拡大・縮小の波に合わせて、宣言の発令・解除を繰り返してきました。


6月20日に第3回緊急事態宣言を解除後、都内では再び感染者が急増し、7月8日には4度目の緊急事態宣言が、7月12日~8月22日までの期間発令されました。

そして7月23日開幕予定の東京五輪は、東京都と神奈川、埼玉、千葉の各県の競技会場で観客を入れずに開催することになりました。

緊急事態宣言下でのオリンピックの異例の開催について、納得できない国民も多いと思います。

2020年3月に五輪開催延期を決めてから、1年数か月が既に経過しました。
その間における政府の対応はどうであったのか、もっと早く決定できなかったのか、振り返ってみました。

 

目次

東京五輪2020の開催延期決定からの1年有余

新型コロナウィルスの感染拡大のために、2020年3月に五輪の1年延期が決まりました。

五輪開催を可能にするには、ウィルスの感染拡大を阻止し終息させて安心・安全に開催することが大前提であると思います。 

コロナウィルスの感染拡大を阻止しようと、海外では外出禁止、都市封鎖などの厳しい措置が取られた結果、一時感染拡大にブレーキがかかりましたが、現在も変異型ウィルスの感染拡大が続いています。

日本においては、これまで政府は対策として

  • マスクの着用
  • 手洗い・うがいの励行
  • 密閉(窓がなかったり換気ができなかったりする場所)、密集(人がたくさん集まったり、少人数でも近い距離で集まること)、密接(互いに手が届く距離で会話や発声、運動などをすること)の「密」を避けるべく 外出の自粛
  • ワクチン接種

を国民に要請し、感染者が爆発的に拡大し医療崩壊が起こらぬよう対処してまいりました。


日本の感染者数

 

日本の重症者数

出典元:NHK 特設サイト(新型コロナウイルス)

しかしながら、感染再拡大の状況となっており、終息の目途はいまだいつになるか分からず、毎日発表される感染情報を不安な気持ちで 見守る状況が続いています。

 

新型コロナウィルスとの戦いは、まさに目に見えない敵との闘いであり、わかっていないことも多くあり、長期戦の可能性が十分あります。

 

ワクチン接種 

ワクチン接種の進展で重症者の数が大きく減れば、新型コロナウィルスは「普通の風邪」に近くなると言われています。 

菅首相は、対策の切り札として「ワクチン接種に勝負をかける」と「1日100万回」を目標に掲げて、トップダウンで取り組み始めたのは今年5月7日のことでした。

  • 目標は、希望する高齢者全員のワクチン2回接種を7月末までに終える。
  • 1日に100万回で接種比率40%達成。予想は9月8日(野村総研のリポート)。
  • 全希望者へのワクチン接種完了は10~11月(首相発言)でした。


結果として、これまで遅れていたワクチン接種はスピードが加速し、新たに始めた職域接種は申し込みが殺到して一時停止の状態になりました。こうした需要と供給の目算を誤った責任はどこにあるのでしょうか?

担当する閣僚が多く、首相による管理統制が行えていないと考えられます。

 

私どもは現役時代に具体的な目標と期限を区切って計画を実行することは、至極当たり前のことでした。

進捗状況を確認し、計画が遅れていれば、どこに問題があるのかを探して解決策を作り、それに全力を傾注して所期の目標を達成するということをやってきました。

 

今回の場合、リーダーたる菅首相が自己の判断・考えを示し、責任を取ろうという姿勢を見せず、「〇〇委員会」「5者協議」に諮って、その意見を聞いてとずるずると決定を延ばしました。

このような「共同責任」に責任を任せた「無責任」な結果が、無観客五輪開催の決定になってしまったことは誠に残念です。明らかにリーダーとしての役割が損なわれてしまいました。

 

五輪開催決定に対する評価・要望

私は次の通り評価及び要望いたします:

  • 新型コロナウィルス禍で五輪を開催する理由を明確に説明していただきたい。

  • 五輪は何があっても開催すると決めていたのであれば、もっと早く中止も延期もあり得ないと国民に説明し、具体的な対策案を示して協力を訴えた方がよかったと思います。

  • ワクチンの職場接種については、最初に受付ける数量を示して実施すべきでした。
     
  •  もっと迅速な方針決定及び説明を国民に示すように、今後は改善・実行を望みます。

  • データによる分析で、1年余の期間の長期シナリオを描いたのかが不明です。短期的で場当たり的な対応でしかなかったと見えてしまいます。

  • 国民とのコミュニケーションは、持っている情報を包み隠さずすべて出すことが最も重要です。そうすることで初めて信頼関係が生まれることにつながります。
     
  • 政府は巨額の対策予算を組みました。その効果的な使い方を求めます。実際に検証するようお願いします。

  • 再度の緊急事態宣言で東京都は飲食店に酒類の提供停止を再び求めます。
    前回5月12日~6月20日宣言分の飲食店への協力金の支給が、未だ始まらない状況のまま、再び酒類の提供停止を求められる都内飲食店への配慮が欠けていると思います。

  • 上記関係者に対して、政府は「協力金の先渡し」などのもっと親身ある支援・対応が必要であると判断します。

  • 政府のやり方に具体的な施策の実施が遅いこと、申請手続きが煩雑のため非効率であること、危機対応の体制ができていないこと、など批判の声は大きいです。
     
  • 医療現場では、必要な資材や検査器具が不足する中、医療従事者は全力をあげて必死に対応しています。

  • 私どもがなすべき行動は、感染拡大を起こさぬように外出を自粛することにつきます。

  • 私どもの生活は、政府の要請に基づき、営業中止、時短、休業、失職、休校、在宅ワーク等大きな影響が出ていますが、各人が自分の身は自分で守る と自覚するとともに、困っている方への配慮、思いやりをもって対処し、当面している国難に立ち向かってまいりましょう。